【将来の積極損害(介護費等)|交通事故示談金増額交渉のポイント】

一生発生する障害者ならではの出費

障害を負うと、今後の人生で様々な出費を強いられます。

 

健常者の頃には予想できなかったような費用であり、しかも相当の額になります。

 

こういうものを漏らすことなく請求していくことも損害賠償金増額のカギです。

 

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症状固定後の障害者の積極損害

これ以上、治療を続けてもよくならない段階に入ったと診断するのが「症状固定」です。

 

症状固定になって障害の内容が初めて確定し、等級の認定を受けられます。

 

法的には症状固定の段階で治療は終了したと捉えます。(現実にはその後も治療が必要な場合がありますが)

 

しかし、障害者になってしまうとその後も健常者には不要な様々な出費が発生します。

 

事故に遭ったために発生する余計な出費を積極損害といい、症状固定前の積極損害の代表は治療費ですが、障害者になると症状固定後も各種の積極損害が発生するのです。

 

(逆に事故に遭わなければ得られたはずのものが得られなくなる損失を消極損失といいます。)

 

いわゆる植物状態や寝たきり、重い高次脳機能障害などになると下記のような費用が発生します。

 

もう少し軽い障害でも、障害の態様によって下記の費用の一部は発生します。

 

  • 介護費(プロの介護人費用、家族がやる場合も手当てがあるべき)
  • 介護用品・器具費(おしめ、清拭用品、入浴介助用品)
  • 装具費(義手・義足や義眼、車椅子等)

 

人件費や消耗品費は、被害者が生きている限り発生します。

 

器具・装具も耐用年数があるので、残りの一生で何回かは買い替えが必要になります。

 

  • 車の改造費
  • 家の改造費

 

障害の態様によっては車椅子のまま乗れるように車を改造したりする必要性が発生します。

 

これも耐用年数があるので、生涯に何回か買い替えが発生します。

 

家も手すりをつけたり、お風呂場を改造する必要がある場合があるでしょう。

 

家の設備も内容によっては耐用年数が短く、買替が必要になるかもしれません。

 

  • 治療費

 

法的には症状固定をもって治療は終了と捉えるので、原則的に症状固定後の治療費は請求が認められません。

 

それでも症状を緩和するために様々な治療・療法に自腹で出費していくことになるでしょう。

 

鍼灸やマッサージを継続的に受けないとつらい状態になることもありますが、そもそも西洋医学以外の治療は認められにくい傾向にあります。

 

ましてや症状固定後であれば、完全に自腹が求められるのです。

 

将来の積極損害の賠償請求例

以上のように将来にわたって健常者にはない様々な出費に苦しむことになるので、できるだけ漏らさず請求しておく必要があります。

 

現実にはこういうものが請求できることを知らないために、漏らしたまま示談に応じてしまいがちです。

 

当人も家族も障害を負ったことに絶望し、その後に数百万〜数千万円規模の慰謝料と逸失利益に少し安心し、精神は疲労の限界。

 

将来の出費にまで頭が回っていないケースが多いと思います。

 

詳しい弁護士の力を借りてしっかり網羅しておくことです。

 

ここでは請求が認められた費用の例を挙げておきます。

 

将来介護費

職業付添人は実費全額、近親者付添人は1日8,000円を目安に、本人の損害として請求できます。

 

遷延性意識障害、高次脳機能傷害などの重度の後遺障害では、家族がやるにしてもプロに頼むにしてもとても負担が大きい。

 

認められやすいこともあるので、しっかり請求しておきましょう。

 

  • 症状固定後から妻67歳までの34年間と、以後余命期間6年間にわたって認めた例
  • 遷延性意識障害の女子大生。自宅療養開始時から母67歳まで1日1万5000円、以後は職業介護人体制として認めた例
  • 排泄障害・高次脳機能傷害のある高校生。180センチと大柄で介護に補助者が必要と判断して、日額を多めにした例

民事交通事故訴訟 損害賠償額算定基準」(通称「赤い本」より)

 

超重度の障害ばかりでなく、3級以下の後遺障害についても認められた例が「赤い本」にたくさん出ています。

 

弁護士さんに調べてもらって、そういう場合にもできるだけ多く請求しておきましょう。

 

将来雑費

短期間の入院ならともかく、残りの一生となると雑費も巨額です。

 

漏らさず請求しておきましょう。

 

  • 頭部外傷に伴う1級の後遺障害。おむつ、食事用エプロン、ミキサー年1台、歯磨き用吸い込み等、月平均28,000円の雑費を余命41年間分認めた例。
  • 1級の被害者。おむつ、気管切開チューブ等の将来雑費として年額約128万円の請求をしたところ、健常人の生活に必要なものまで含まれているとして、7割だけが認められた例。
  • 人口肛門のケア用品として、パウチ、清浄剤、不織布テープ、装具などが必要。年14万円余りの将来雑費を平均余命44年にわたって認めた例。

「赤い本」より

 

装具・器具購入費

メガネ、義眼、盲導犬、義手、義足、コルセット、車いす、電動ベッド、義肢、口腔清掃用具・・・・

 

障害者が生活の質を上げるための装具・器具は多くの種類があります。

 

少しでも快適に過ごせる道具をたくさん探して、全部請求してしまいましょう。

 

そういうものが認められた例がたくさんあります。

 

  • 屋内用・屋外用・屋外リハビリ用と3種の車椅子の買い替え費用を将来にわたって認めた例。
  • 要介護の女児に対し、入浴用天井走行リフト、入浴用担架、キャリーシートなど、様々な費用が認められた例。
  • 膝が壊れた被害者のために、右膝硬性装具を平均余命分の交換回数だけ費用を認めた例。

「赤い本」より

 

車の改造費

自動車の改造費だけでなく、自動車の買い替え費まで認めた例があるようです。

 

  • 四肢完全麻痺の主婦。自動車にリフトを架装する費用を8年ごとに平均余命分認めた事例。
  • 1級の女児のために介護用自動車購入費+交換費を将来にわたって6年ごと12回分認めた事例。

「赤い本」より

 

家の改造費

家の改造費も少なくとも1回目は請求できます。

 

買替ないし改装費用まで認めた例は見当たりませんでしたが、内容によって耐用年数が短いものなら、請求してみるのはアリかと思います。

 

  • 首から下が完全麻痺の中学生に対し、車椅子で昇降できるようホームエレベーターを認めるも、家族も利用することを考慮して2割引きとした例。
  • 家が狭いために車いす用の改造は無理と判断。マンション購入費の10%と新居のバリアフリー工事費を認めた例。
  • 片腕が完全に使い物にならなくなった被害者に、トイレ・風呂の改造費を認めた例。
  • 高次脳機能障害(3級)の主婦。火災防止のためにガスコンロをIHに替える費用を認めた例。

 

将来の治療費

症状固定後の治療費は認められないのが原則ですが、「赤い本」には例外が出ています。

 

合理性のある内容ならダメ元でもいいから請求してみましょう。

 

  • 右足切断で症状固定後に、義足を作成するための通院費等を認めた例
  • 右目失明・無数の顔面醜状の女性について、確実に必要な今後3回の手術費を認めた例
  • 左大腿骨に人口骨頭を使用した被害者に対し、人口骨頭の耐用年数が15年であることを考慮し、将来の交換費用を認めた例

 

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