【休業損害|交通事故示談金増額交渉のポイント】

専業主婦にも出る!中身をしっかり吟味

専業主婦など、実収入がない人には十分な休業損害が提示されないことが多いです。

 

しかし、専業主婦は休業損害を請求できるし、失業者や学生にも認められる場合があるのです。

 

よって、休業損害のことをよく調べて正当な額を請求すれば、示談金増額に寄与することが多いのです。

 

このページでは、休業損害についてもう少し掘り下げてみます。

 

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専業主婦の休業損害

専業主婦も休業損害を請求できることは争う必要はなく、すでに過去の判例で確定済です。

 

しかし、保険会社はこのことに触れず、示談金の提示では故意に書き漏らしていることが多い。

 

家庭外から実収入のない専業主婦は自分も休業損害が請求できることなど思いもよりませんから、示談はそのまま進んでしまいがちです。

 

そして示談書に判をついてしまえばそれで終わりです。

 

保険屋にごまかされずにしっかり請求しましょう。

 

休業損害計算のための仮想の収入額は、厚生労働省の「賃金センサス」という賃金統計資料の数字を使うルールになっています。

 

これの第1巻第1表の産業計、企業規模計、学歴計、女性労働者の全年齢平均の賃金額を使います。

 

家事専業は、普通に勤めている女性と同じレベルの報酬の仕事と認めてもらえるわけです。

 

受傷のため家事に従事できなかった期間が何カ月とか1年以上といった長期の場合、かなりの金額になります。

 

兼業主婦の場合は?

パートなどでわずかな収入がある場合、それに相当する額を休業損害として提示される可能性があります。

 

しかし、兼業主婦の場合、実際の収入額と上記の賃金センサスデータを用いて計算した専業主婦としての休業損害の好きな方を選べるのです。

 

金額の大きい方で請求しましょう。

 

専業主夫は?

家事専従者は、性別は関係ありません。

 

一人暮らしでは家事専従者の休業損害は認められませんが、他の家族のために家事をしているなら専業主婦でも専業主夫でもよいのです。

 

女性が外で働いて男性が家事に専従している場合、保険会社は男性を失業者とみなして休業損害を払わずに済まそうとしてくる可能性があります。

 

「自分は専業主夫」と主張し、休業損害をしっかり請求しましょう。

 

給与所得者

被害者が給与所得者の場合、保険会社もさすがに休業損害は提示してくると思いますが、中身は鵜呑みにせずしっかり吟味しましょう。

 

正社員だけでなく、パートやアルバイトでも休業損害は請求できます。

 

弁護士必携のバイブル通称「赤い本」には次のような判例が出ていました。

 

  • 2年8カ月にわたる休業期間に関し、毎年の昇給・賞与・時間外手当までが認められた例。
  • 業務ができない状態ではなかったが、「中途半端な状態で復帰するな」と会社から命じられて休んだ期間も認められた例。
  • 事故当日から出勤する予定だった会社の給料が認められた例。
  • 事故後まもなく自主退職した重機オペレーターが、回復後に同じ会社に再就職。離職していた期間の休業損害が認められた例。

 

いろいろなものが認められる可能性があるので、弁護士に相談してみましょう。

 

事業所得者(自営業者、経営者)

事業所得者については受傷のために仕事を休んでいても、実際に減収が発生していなければ休業損害は請求できないのが原則です。

 

しかし、「鍼灸院で減収がないのは長男ががんばっているおかげとして、損害が認められた例」が赤本に載っており、例外もあるようです。

 

一方、事業存続のための固定費は請求できる場合があります。

 

例えば、休業中の店の家賃とかです。

 

また、自営業者は税金対策のために実際より所得を低く申告していることが多く、これが休業損害では裏目に出る心配があります。

 

「確定申告のとおりに払うんだから問題ないでしょ。過少申告してるなら、それはあなたが悪い。」と保険屋は言うでしょう。

 

しかし、「赤い本」には申告所得以上の金額を休業損害で認めてもらえた事例が載っています。

 

無職者

事故時点で無職の人の休業損害は、自賠責は認めていないし、任意保険会社も払わないのが基本姿勢です。

 

まず、無職になって一定以上の時間が経つのに求職活動をしていない人はアウトです。

 

高齢や重い障害がある等の理由で雇用される見込みが低い人も厳しいでしょう。

 

しかし、次のような場合はどうでしょう?

 

キャリアアップのために退職し、充電期間を楽しんでいたが、次の仕事を見つける前に事故に遭い、長期間の治療を強いられた。

 

この人は、事故に遭わなければ就職して収入を得ていた蓋然性が高いです。

 

少なくとも請求してみることに正当性はあるはずです。

 

「赤い本」では無職者にも休業損害を認めた事例がいくつか載っています。

 

労働意欲と労働能力があれば、事情によっては認められる場合もあるのです。

 

計算には前職の収入や賃金センサス(統計資料)を使いますが、認められる場合も平均賃金を下回ることが多いようです。

 

学生

原則的に休業損害は認められませんが、事故前に実際に収入があった場合は例外です。

 

コンスタントにバイト収入がある学生は多いし、中には起業しているような人もいますね。

 

また、治療のために就職が遅れた場合は休業損害が認めてもらえることがあります。

 

「事故のために就職活動ができず、1年遅れた短大生に賃金センサスを使用した休業損害が認められた例。」など数例が「赤い本」に出ていました。

 

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